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行政書士試験・民法の基礎問題


解答

認められない


AB間には、売買契約が成立しているので、Aは代金債権を有し、Bは引渡債権を有している。 この場合、両者は同時履行の関係にある。ここで相殺というのは、相殺権者からしてみると、 自働債権については一方的に相手方の履行を強制し、支払ってもらったのと同様の効果が生じる。 もし本問でAの相殺の主張を認めると、Bは一方的に履行を強制されるので、Aの一方的な 意思表示によって、同時履行の抗弁を失うことになる。これではBに酷。そもそもBの同時 履行の抗弁は、売買契約の等価的関係(←天秤にのせたときにつり合っているということ) から認められるもの。これは相手方の履行を確保するために、ある種の担保として認められている。 いくら貸金債務を別個に負担しているからと言って、Aの一方的な相殺によって 奪われるものではない。つまり自働債権に抗弁権が付いているときは、相手方に履行を強制 できないので、相殺できない。よって、Aの主張は認められない。


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